社長の息子が辞めるとき 12

ということで無事転職先が決まった。

いよいよ報告です。

社長である父は「そうか、なんとなく決まると思ってたよ」

あとから母から聞いたのだが親子で独立して一緒に会社を立ち上げたかったらしい。

なんとなく寂しそうだった。

ドラ息子はプチパニック。

仕事決まりましたと言うと

「えっ?辞めるかどうかを決めたんじゃなくて、転職先が決まったの?!」

そう言い残し事務所へ

「あいつ辞めるとか言ってるぞ!」

と騒いでいたそうです。

先生はやはり少しびっくりしていました。

ほかの人々たちはお前はまだ若いから大丈夫だ!と励ましてくれる人もいれば

どうしてやめるんだ!社長の息子のお前がやめたらここはどうなる?!

と呆れる人もいたかな。

でもほとんどは僕のこと応援してくれていました。

ちなみに、この時ですが、一番の戦力である僕の唯一の後輩が家業を継ぐために辞めて数ヶ月後の話です。

転職するタイミングとしては最悪です。

半ば無理やりの退職です。

僕の後輩はほとんどの社員から好かれていたので送別会が開かれていました。

もちろん、各自自腹で割り勘。会社はそんなことでお金は出しません。

僕の親父である社長なら認めたでしょうが会長である伯父が許しません。

色んな人に辞めることを伝え、最後の出勤日に改めて一人一人に挨拶して回りました。

3分の1くらいは「がんばれよ」と言ってくれましたが残りはちょっと聞き流しているというかちょっと不満が残る様子でした。

ちなみに、会長には一言も「辞める」という旨を伝えれてません。

言えるタイミングもそうですが言い出せなかった僕の心の弱さもあります。

その点は深く反省しています。

ちなみに僕が辞めると聞いた時の伯父の反応は「舌打ち」のみだったそうです。

そして7年以上務めた会社を後にしました。

何も変わらず平凡な一日でした。

本当にやめたんだな、あんまり実感が湧かないな。

そんな気持ちで引っ越しの準備です。

とんでもない量のゴミを処分し、漫画を売り、CDを売り、古い家具も捨て、3トンくらい処分したんじゃないかと思うくらいでした。

妻が一番頑張ってくれました。

そして引っ越す3日前、日曜の朝5時電話がかかってきました。

一番酒飲みの配送担当の人でした。(以後、配送さん)

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