こうして働くことになった親族経営の会社、規模はというと、従業員20名でまずまず。
県や国からの仕事もしばしば受け業績は悪くない。
それなりに忙しい。
しかし、面接のときに衝撃的な事実を聞かされる。
基本給13万だったのだ。
手取りで11・8万だ。
今考えれば恐ろしく低賃金だが、初めての会社だし、彼女(後の妻)と同棲しており、二人合わせて24万の稼ぎだったので低賃金という実感はあまりなかった。
しかし、子供が生まれ、自分一人だけの稼ぎになったとたん実感した。
自分が会社に入ったと同時に常務は専務に、専務は社長に、社長は会長になった。
つまり、父親が専務、伯父が社長だ。
僕のことを、あいつは専務の息子だから下手なことはしない方がいいぞといっている人もいたようだが、大体の人は関係なく接してくれて、厳しく指導してくれた。
自分は物覚えが悪く、手際も悪いので仕事になれるまで時間がかかったがゆっくり覚えていった。
そして、入社して数ヵ月後、先輩から会社で一番新しい機械を習うことになった。
先輩といってもいとこの兄だ。
一番始めに言われた言葉が
「俺もよくわからない」
だ。
どうやら感覚でしか扱えない機械で、操作方法の手引きはあるが実績がないので自分たちの経験を随時ノートに記してマニュアルを作ろうと言われた。
先輩も機械設置の際に職人から3日間教わっただけだという。
ちなみに、他の作業員は50代以上で一番若いのが自分で次にその先輩だった。
だから新しい機械を覚えさせようとなったそうだ。
すごく難しく一人前になるには10年かかるとされている機械。
すっごく油が跳ねるし、難しいし、工場の位置的に暑いし一人で孤独だし、辛かった。
けど、もの作りは好きだし、黙々と作業できるので向いているなと感じた。
そうこうしているうちに、2週間で初めて一人で作った製品を出荷した。
社長は
「大丈夫なんだろうな?!」
と言ってきたが、そんなに気になるのであればどうして製品を見ようとしなかったんだろうと思った。
そのころから社長に対して不満な気持ちはあったのかもしれない。
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